世界で活躍するタケダ従業員のランチタイムにお邪魔して、活動の様子を伝える「世界のタケダランチタイム」。今回はタケダの日本における医療用医薬品ビジネスを統括する宮柱明日香さんに、海外赴任時代の思い出や仕事上の心がけについてお話しいただきました。
<今日の宮柱明日香さんのランチ>
フォーガー(鶏肉のフォー)
東南アジアに赴任された経緯を教えてください。
日本とはまったく違う環境に身を置いてみたい、と思ったのが最初のきっかけです。東南アジアを希望したのは、日本などの先進国とは異なる、成長著しい市場で働いてみたかったから。最初に赴任したインドネシアは、学生時代にキャプテンを務めるなど、今の自分を形成する大きな要素となったバドミントンが国技であり、憧れの選手もいたなど、縁もありました。次の赴任先であるベトナムも同様に、国民の平均年齢が30代と若く、エネルギーに満ち溢れる国だなと感じました。
当時はどんなものを食べていましたか?
思い出があれば教えてください。
普段から「鶏は裏切らない(笑)」と言うほど、私は鶏肉料理が好きでして。ベトナムでは「Pho Ga」(フォーガー・鶏肉のフォー)、インドネシアなら「Soto ayam」(ソトアヤム・鶏肉のスープ)が特にお気に入りでした。甘めのタレにスパイスの効いたソースを付けて食べる焼き鳥「Sate ayam」(サテアヤム)も美味しいですよ。オフィス近くの露店で、現地のメンバーに通訳してもらいながらローカルフードを満喫していました。これらの食事は、日々の仕事のエネルギー源でもあり、メンバーとのコミュニケーションツールでもありました。
東南アジア時代は、どんなお仕事をしていましたか?
インドネシアでは、がん領域事業の立ち上げに携わりました。ベトナムでは、日本の厚生労働省から委託を請けた国立国際医療研究センターと協力し、難病の遺伝性血管性浮腫(HAE)の診断、診療の向上を図る支援事業を立ち上げたことが思い出深いですね。どちらも成長新興国であり、日本のように新薬が開発されて承認されれば市場で流通するという仕組みが整っているわけではなく、そもそも医療レベルや医療保険制度、コールドチェーン(※)をはじめとする流通体制が十分ではないなど、たくさんのチャレンジがありました。多くの課題をクリアし、両国の患者さんに診断、診療の向上の支援と革新的な医薬品をお届けするお手伝いができたことを誇りに思っています。
※コールドチェーン:温度管理が必要な商品(この場合医薬品)を製造拠点から顧客まで一貫して低温を保って届ける輸送網のこと
現在はどのようなお仕事を
されていますか?
現在はジャパン ファーマ ビジネス ユニット(JPBU)プレジデントとして、またジャパンカントリーヘッドとして、日本の医薬品事業および日本におけるビジネス全体を統括しています。240年以上の歴史を持ち、グローバルに展開するタケダの創業の地である日本で、長い年月をかけて基盤を築き上げてきた国内事業を任せていただけるのはとても光栄ですし、重責を感じています。タケダのオリジンであるこの日本で、熱く、多様な仲間たちと仕事ができるのは、とても楽しいですね。
海外での経験は、現在の仕事観に何か影響を与えましたか?
不確実性が高い中で意思決定をすることが多かったこと。度胸がつきましたし、「失敗しても大丈夫!」と経験から言えるようになったのは大きいです。成長新興国でのビジネスは、日本市場と同じように進めることができないこともありました。例えば、新薬発売の2日前まで、認可が下りるかどうかが決まっていなかったことも。そんな中で、仲間たちと活発にコミュニケーションしながら集めた情報をもとに決断した経験は、今にも活きていると思います。
赴任当時、一緒に働いていたメンバーに言われて、印象的だった言葉はありますか?
海外時代に元上司から「明日香を一言で表すと、誠実で不屈な人」と言われたことがあります。私自身、仕事はどんな困難があっても目標に向かって諦めないタイプですし、できれば周囲とわいわい楽しみながら愚直にやっていきたいと思っています。真面目にやりながらも、ユーモアを交えながら思いを共有する仲間と一緒に働きたいですね。
国内のビジネスを統括されるにあたっ
て、コミュニケーションをどのように捉
えられていますか?
普段から工夫されて
いることなどはありますか?
大切にしているのは、透明性を持ち、オープンであること。情報はできるだけすべて伝えるように心がけています。
私は、根本的に人が好きなのです。いつも、みんなに会って直接話をしたいと思っています。オフィスの私の部屋も「誰でもどうぞ」というつもりでドアを開けていることも多いですし、皆さん気軽に訪ねてきてくださいます。私のほうも、時間があるときにはオフィスを歩き回って、見かけたメンバーに、気軽に声を掛けています。「ハロー!」とか「最近どう?」とか、カジュアルな形でね。
一方で、現在のポジションに就いてからは、残念ながら第一線で働く仲間と直接話す時間があまり取れません。その分、社内へ向けてメッセージを発信する場を積極的にもつようにしています。
これは、私が特別なのではありません。タケダは会社全体として非常にフラットなコミュニケーションを大切にしています。タケダのこうしたコミュニケーションのスタイルは、日本人に比較的多いといわれる受け身姿勢を、上下関係なく対話ができる環境に変え、日本人がもっとグローバルで活躍できるという可能性を示しているのでは、とも思っています。
タケダのさらなる成長のため、今後どのような部分に注力していくのかお聞かせください。
第一に、革新的な医薬品を上市し続けること。医療関係者への情報提供など、顧客志向を重視した活動を行うこと。第二に「Return to growth」、再び成長軌道に乗せるために、今ある製品の浸透であったり、新製品の導入を図ったりすること。最後に、日本のヘルスケア全体に貢献していくこと。タケダ個社としての取り組みはもちろん、製薬業界の一員として、日本の医療、患者さんにどう貢献できるかを考え、国や関係機関とも連携して取り組んでいきたいと考えています。
最後に、宮柱さんにとって
「世界に尽くす」とは?
日本に戻って3年、2024年4月に現職を拝命して以降、タケダの240年以上ある歴史の重みを感じながら、この先も永く本業である「革新的な医薬品を世界中の患者さんに届ける」ことを続けていきたいと考えています。「世界に尽くせ、タケダ」というフレーズは、長い歴史を私たちの世代で止めないよう、未来志向で挑戦する私たち自身への鼓舞だと思っています。