日本発のグローバルなバイオ医薬品企業として、タケダが「世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献する」というパーパスを実現する原動力となるのが、自ら考え行動する自律型の人財。タケダでは、全社的に「人」への投資を積極的に行っています。中でも特に注力している領域が「データ&デジタル」。タケダは「データとデジタルの力で、イノベーションを起こす」を企業理念として、全ての従業員にデータ&デジタル教育の機会を提供しています。
今回は、2022年10月より本格始動した、国内事業部門でのリスキリング・プロジェクト「データ・デジタル&テクノロジー(DD&T)アカデミー」についてご紹介。本プロジェクトを統括する高橋俊春さんと、実際のプログラム運営を担当する森田和也さんにお話を聞きます。
*アカデミー始動時のインタビューを再編
6カ月のデジタル・ブートキャンプ。
「DD&Tアカデミー」とは?
まずは「DD&Tアカデミー」の目的と特長を教えてください。
【高橋】 デジタルを活用してイノベーションを起こす「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」が注目されていますが、タケダではデータとデジタル、そしてテクノロジーの力を最大限に活用して、いま以上に信頼されるバイオ医薬品企業として変革を続けるべく取り組んでいます。
例えば、医薬品開発はもちろんのこと、難病治療へのデジタル導入なども手がけています。さらには、データ、デジタル、テクノロジーの活用によって医療従事者などに対する「顧客体験」の向上につなげていきますこれにより、最終的には一人でも多くの患者さんを救い、患者さんの幸せを実現することを目指します。
その実現には、人財への投資が何よりも重要。「DD&Tアカデミー」はその一環としてタケダが行っている、デジタル人財の社内育成プロジェクトです。最大の特徴は、自ら手を挙げて選出された従業員が、元の所属部門を離れ、6か月間にわたりデジタル人財へのリスキリングに集中し、短期での成果実現を目指す点です。
DD&Tアカデミーでは、具体的にどのようなことを実施するのでしょうか?
【森田】 社内公募の応募者から選考された受講生が、2022年10月から2023年3月までの6カ月間、集中的にトレーニングプログラムに取り組みます。内容は、講師からの講義、e-learningでの自己学習、ワークショップなど多岐に渡ります。
受講生の皆さんは、もともとITやデジタルの専門家ではない方と聞いていますが、どんなメンバーが集まったのですか? また、どのくらいの応募から選ばれたのでしょうか?
【高橋】 受講生は医薬情報担当者(MR)や、マーケティング、流通などの業務に携わってきた人たちがほとんどです。もちろん、これまでもデジタルツールを活用したり親しんだりしてきた人たちですが、ITやデジタル部門での勤務経験があるわけではありません。
【森田】 初めての取り組みにもかかわらず、従業員の関心は高く、オンラインで実施した社内説明会には数百名が参加し、ライブ視聴できなかった従業員向けの録画再生回数も400回程度ありました。最終的には150名超が応募し、うちMRが8割程度。面接等の選考を経て、最終的に30名を超えるメンバーを選出しました。受講生の男女比は結果的に対象部門の割合が反映され、全年代から幅広く集まっています。
アカデミー修了後、メンバーはどのような業務に携わるのでしょうか?
【森田】 デジタル人財としての職種は、4つのカテゴリーで12種類を設定しています。カテゴリーは、顧客との関係値管理に関するカスタマーエクスペリエンス、テクノロジー、データマネジメント、AI&ビッグデータです。それぞれの分野で、各従業員が培ってきた知見を生かし、デジタルを効果的に活用して、これまで以上の付加価値を生み出すスペシャリストとしてアップスキルされるイメージです。
DD&Tアカデミーが切り拓く、
タケダのデータ&デジタル人財育成の意義とは
いよいよDD&Tアカデミーが開校し、プログラムが始動しました。本プロジェクトによるデジタル人財育成の意義や、今後の展望について、アカデミーを運営する立場から想いを聞かせてください。
【森田】 タケダ初の試みということもあり、正解と前例が無い中で進めていく点に苦労はありますが、受講生のみなさんにどうやって6か月を走り切ってもらうか、どのようにサポートできるかを、DD&Tの組織だけでなく、人事の皆さんとも議論を続けながら進めています。アカデミーに関わる全員が、患者さんに貢献していくためにデジタルを活用できる人財を育てていく、という共通の目的に向かってうまく連携して運営できていると考えています。
【高橋】 私たちが目指すのは、製薬業界やタケダでの勤務経験から豊富な知識と経験、人脈を併せ持つ優秀な自社人財を、デジタルに強く、デジタルを戦略的に活用できる人財としてリスキリング、アップスキリングすることで、ビジネスとデジタルの融合を果たすこと。これには、デジタル人財の内製化という側面もあります。
アカデミー受講生の皆さんは、タケダのビジネスとデジタルを両方理解する人財として、社内外の高度なスキルを持つデジタル専門家とのコミュニケーションや協業における「ハブ」のような存在となるはず。これにより、事業へのインパクトも最大化することでしょう。その上で、次の仲間を引っ張っていく立場になってもらいたいと思っています。
データやデジタル技術は、それだけでは単なる情報や手段に過ぎませんが、そこにさまざまなビジネスの知見や分析・判断を加えることにより、タケダならではの価値を創出することができるはずです。DD&Tアカデミーを通じて、さまざまなバックグラウンドを持ったエキスパートが社内に増えれば、タケダの組織としての強みをより発揮することができると期待しています。
PROFILE
高橋 俊春
データ・デジタル&テクノロジー部 デジタルアクセラレーション ヘッド。ITアドバイザリ企業や外資系製薬企業にてIT・デジタルの変革プロジェクトを複数担当・統括後に、タケダに入社。主に国内事業部のデジタル戦略立案推進、アジャイル変革およびチェンジマネジメント、イノベーション創出の基盤づくりにおけるマネジメントを行う。
森田 和也
データ・デジタル&テクノロジー部 デジタルアクセラレーションチーム。医薬情報担当者(MR)のデジタル推進役として活躍したのち、2022年4月より現職。国内事業部のデジタル活用を推進する役割の一環として、DD&Tアカデミーの運営を担当する。
本記事は2023年2月までの内容に基づいて記載。所属は制作当時のものです。