• DX INSIGHTS Vol.04

企業理念を体現するため、「データとデジタルの力で、イノベーションを起こす」ことを掲げている、タケダ。データ&デジタル教育に注力する中で、2022年10月より始動した、国内事業部門におけるリスキリング・プロジェクト「データ・デジタル&テクノロジー(DD&T)アカデミー」に注目が集まっています。これは、自ら手を挙げ、選出された従業員が元の所属部門を離れ、6カ月間にわたってリスキリングに集中し短期での成果実現を目指すものです。

今回は、大詰めを迎えているDD&Tアカデミーの現状をご紹介するとともに、受講者と担当トレーナーに、プログラムを通じて現在感じていることや将来へ向けた希望、展望について聞きます。

DX INSIGHTS Vol.03
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「アカデミー卒業生の今」に
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DD&Tアカデミーの
「肝」はOJTにあり

「DD&Tアカデミー」6カ月間のプログラム中で、一番の特徴ともいえるのが、早くから行われる「OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)」です。

開講後約1カ月は、全員が共通のプログラムのもとデータ&デジタル領域に関する基礎的なトレーニングを行ってきましたが、現在は、2023年4月以降の所属部門での業務を見越した職種ごとにOJTを交えたトレーニングを実施中。プログラムの早期からOJTを取り入れ、学びと実践の繰り返しにより、習熟度を向上させています。

早速、DD&Tアカデミー受講生と、担当トレーナーのリアルな感想を聞いてみましょう。

DD&Tアカデミーの真価を発揮し、
仕事で結果を出したい

現在AI & ビッグデータ部門で行っているトレーニングについて教えてください。

【長岡】 現在、2つの領域でOJTを行っています。ひとつは、リアルワールドデータ(RWD※)の利活用について、概要やビジネスにどのように応用するのかを受講生でディスカッションし、RWDについて知識や見識を広げること。もうひとつは、MRの皆さんを情報の側面から支援するタケダの社内システム「SCRM-AI(読み方はスクラムエーアイ)」に関して、開発環境構築を行うというOJTです。

※RWD…リアルワールドデータ。臨床現場において得られた治療に関するデータの総称

「SCRM-AI」は、MR業務支援の社内システム。担当する医薬品や疾患領域に関連する医療情報や論文などの文献情報をAIを介して推奨し、医師への最適なアプローチを支援する。MRの業務効率や質の向上に寄与するべく、日々の開発業務の習得に励んでいる。

アカデミーもいよいよ終盤です。今の率直な思いを聞かせてください。

【長岡】 不安と期待と、両方あります。4月以降、開発の第一線で自分なりのバリューが出せるかどうかという点が不安な点です。今は上司やトレーナーとも話し合いながら、自分なりのバリューをどう出すか、イメージづくりをしています。その一方、不安自体もポジティブな要素だと考えています。知らないことも含めて楽しめるからです。トータルでは、ワクワクしながら次のステップに進んでいきたいと思います。

これまでのプログラムで、一番の「学び」は何でしたか?

【長岡】 SCRM-AIで実践しているアジャイル開発ですね。今までは自分の考えに基づき、自ら行動することが基本でした。SCRM-AIの開発では大勢のメンバーと共にアウトプットを出していくのがメイン。実際に開発チームに参加することでスピード感やチームコミュニケーションの濃さなど、多くのことを学べました。

受講生として、今後どのように会社、そして患者さんに貢献していくか、意気込みを聞かせてください。

【長岡】 私の価値は、MRで培ったニーズを理解する知識と、流通部門の10年で得た経験・見識、それを基にした課題解決力にあると考えています。そしてこのような学びの場で得たデータ・デジタルという新たなノウハウ・スキルを持って、変革を推進し、医療問題解決の一翼を担いたいと考えています。

受講生が活躍することは、
タケダの変化への対応力の
証明になる

トレーナーを務めてのご感想、そして受講生の今後への期待について聞かせてください。

【久里】 今回のような取り組みはとても有効だと感じました。例えば、データサイエンスではしばしば仮説を立て検証するという手順を踏みますが、当社の場合ですと、製薬業界の知識がなくては、仮説を立てることすら難しくなります。データサイエンスの専門性に加え、製薬の専門性もなくてはいけない。「製薬×データサイエンス」の2つの専門性を持った人財は非常に希少かつ強力です。こういった人財が増えていくことがタケダの文化になっていくと、より会社も強くなります。この新しい文化の一期生が活躍されることを心より期待しています。

幅広い視点を持つことの
大切さを学んだ

現在データ & マネジメント部門で行っているトレーニングについて教えてください。

【大久保】 OJTとして、ビジネス・インテリジェンス(BI)ツールを活用して、社内向けダッシュボード(※)の作成や、データ分析を行っています。MR時代には作られたものを見るだけでしたが、分析する側に回ると、どんなデータをどう表現するかで大きな違いがあるのがわかり、データ分析の奥深さを実感しています。

※ダッシュボード……複数のデータを一覧表示する機能のこと

MRのアクション対効果を可視化するダッシュボード制作の指導の様子。効率的な業務を行う従業員の特徴をデータから導き出し、業務効率の向上につなげるため、データの整理の仕方、データの読み解き方を日々学習している。

DD&Tアカデミー受講前と現在で、ご自身の中で何が変わったか教えてください。

【大久保】 アカデミーでの学びを通じて、データやデジタルツールの活用に自信が持てたことは、大きな変化ですね。また、データアナリストになるための研修の中で「幅広い視点を持つこと」の大切さを学びました。専門性を高めるのも大事ですが、一方でBIを扱うユーザーや関わる部署の目線に立って考えることの重要性も痛感しています。

4月からは現場でデジタル人財としての活動が始まると思いますが、不安はないですか?

【大久保】 4月からは研修を終え、自分でコミュニケーションをとり、自ら動くことになるという点では不安があります。しかし、スキルと個性を併せ持った上司やトレーナー、そして共に取り組む仲間がいますので、とても心強いです。不安以上に、安心して4月以降の仕事に臨めそうです。

大久保さんが今後取り組みたいこと、そして今の意気込みを聞かせてください。

【大久保】 思っているのは、幅広い部署の方々にデータ・デジタルをもっと使ってほしい、ということ。データやツールの活用の度合いは現場によってバラつきがあるため、もっと気軽にBIを使えて、データを身近に感じてもらえるようにしていきたいですね。

また、変化が大きく激しい今、社内外のニーズをいち早く捉え、ユーザビリティの高いデータを提供できるようなアナリストになりたいと思っています。

DD&Tアカデミーを、
デジタル人財の社内育成に
向けたマイルストーンに

大久保さんや、受講生の皆さんに対して期待することはなんでしょうか。

【沼】 DD&Tアカデミー受講生たち、つまりITスキルに加えて製薬業界でのビジネスにも詳しい人財は社内でも非常に希有な存在です。彼らは間違いなく将来のタケダを支えてくれることでしょう。これまでの外部ベンダー依存の流れから、IT人財の内製化を重視していく力にもなってくれるはず。物事がスピーディーかつ、柔軟に進み、よりよい成果を出すことを期待しています。

タケダのリスキリング・プロジェクト「DD&Tアカデミー」。社内で経験を積んだ人財を短期間に「デジタル人財」へと成長させる取り組みは、まもなく半年間の受講期間が終了。
高レベルのリスキリングを経た彼らがそれぞれの現場に入ることで、患者さんのための創薬や、従業員の働き方に起こすイノベーションが、タケダのビジネスをより加速させることに期待です。

PROFILE

長岡 建太

データ・デジタル&テクノロジー部 AI・ビッグデータ部門。DD&Tアカデミー1期生。医薬情報担当者(MR)を経験後に流通分野でキャリアを積み、医療課題解決に取り組む。データ&デジタルの課題解決力に着目し、アカデミーに応募。AIを活用した社内システムの開発環境の構築分野でトレーニングを積む。

久里 暢

データ・デジタル&テクノロジー部 AI・ビッグデータ部門。金融機関のシステム開発分野で経験を積んだのち、タケダに入社。データ分析/システム開発、主にAIを活用した社内システムの高度化を担当する。アカデミーでは、アジャイル開発の特徴を生かしながら、アカデミー生の短期間での成長をメンターの立場からサポートする。

大久保 空香

データ・デジタル&テクノロジー部 データマネジメント ビジネスインテリジェンスディベロップメント部門。DD&Tアカデミー1期生。医薬情報担当者(MR)で社内のデジタル推進役を務めたのち、社内のデータ&デジタル活用のさらなる推進役を目指してアカデミーに応募。データアナリストになるべく、BIツールやデータ分析トレーニングを積む。

沼 智之

データ・デジタル&テクノロジー部 データマネジメント ビジネスインテリジェンスディベロップメント ヘッドとして、データ・ガバナンスを統括。社内外のデータを効果的かつ効率的に活用するための戦略から評価方法までの設計に従事。データマネジメントの知識に加えて、コーチングの専門スキルも活用しながら、アカデミー生の成長を促すメンター役を務める。

本記事は2023年3月までの内容に基づいて記載。所属は制作当時のものです。

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